日本とクウェート

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日ク関係の歩み


国交樹立


クウェート大使館

クウェートの独立直後、日本はクウェートを独立国として最初に承認した国の一つです。日本とクウェートの国交は、クウェート独立直後の1961年12月8日に樹立され、駐レバノンの日本大使がクウェートの日本大使を兼任しました。1962年2月東京にクウェート国大使館が、1963年2月クウェートに日本国大使館が開設され、外交面での本格的な交流が始まりました。1990年8月のイラクによるクウェート侵攻・占領のため、在クウェート日本国大使館は一時的に閉鎖されましたが、1991年2月末のクウェート解放後に再開されました。

なお、在日クウェート大使館は、建築家丹下健三氏の設計により、1970年4月、三田に新築され、現在に至っています。


両国要人の交流


ジャービル首長訪日(1995年)

両国間の要人の交流は1961年の国交樹立以来、次第に活発化してきましたが、特に湾岸戦争以降、両国要人の相互訪問が相次いでいます。

クウェートからは、1995年10月、シェイク・ジャービル・アル・アハマド・アル・サバーハ首長が同国の元首として初めて日本を公式訪問されました。

現クウェート国元首のシェイク・サバーハ・アル・アハマド・アル・サバーハ首長は、外務大臣だった1964年にアラブ連盟代表として初来日、その後1968年に外務大臣として日本を公式訪問されました。1971年には国連総会の帰途に日本に立ち寄り非公式に訪問、1984年にアラブ連盟代表として訪日されました。1998年には第一副首相兼外務大臣として再び公式訪問され、当協会も参画したクウェート紹介イベント「MEET KUWAIT 98」にも出席され、高円宮殿下と共にオープニングのテープ・カットをされました。その後、2004年には首相として日ク両国間の良好な関係維持と相互投資の促進のため公式実務訪問、そして、日ク国交樹立50周年を経た2012年にはクウェート国元首・首長として国賓として訪日されています。(詳細はサバーハ首長の訪日を参照)サバーハ首長はこのように幾度となく日本に足をお運びになり、両国の友好関係発展に大きな役割を果たされています。(詳細は下記サバーハ首長の訪日の項目をご参照ください)


サバーハ首長(当時外務大臣)訪日(1968年)

サバーハ首長(当時首相)訪日(2004年)

ジャービル首相(当時副首相)叙勲(2009年)

現首相のシェイク・ジャービル・アル・ムバーラク・アル・サバーハ首相は副首相兼国防大臣であった2004年に外務省賓客として初来日、その後2009年に旭日大綬章授与式に出席のため来日、そして2016年5月に首相として公式訪問されています。(詳細は下記ジャービル首相の訪日の項目をご参照ください)

一方、日本からは1995年1月、皇太子・同妃両殿下が日本の皇室として初めてクウェートを訪問されました。ご滞在中、両殿下はジャービル首長、サアド皇太子殿下兼首相、サバーハ第一副首相兼外相と親しくご歓談されました。


また、安倍晋三首相は2007年と2013年に、首相として二度クウェートを訪問しています。(詳細は下記両国間のパートナーシップの項目をご参照ください)


経済技術協力の進展


山下社長とサバーハ首長(1961年)

1958年、日本企業のアラビア石油㈱はクウェート政府(当時クウェートは独立国ではなくイギリスの保護領)から、クウェートとサウジアラビアの中立地帯(当時)沖合における石油採掘権を供与されました。前年の1957年にサウジアラビア政府より同様の石油採掘権を供与されていた同社は、1960年、石油の採掘に成功しました。同社の石油生産は、石油採掘権が失効した2003年まで継続(その後2008年まで技術サービス契約を結び操業継続)し、両国の経済交流の大きな礎となりました。

1960年代に入ると、大手プラントメーカーをはじめとする日本企業はクウェートに進出し、海水淡水化、発電などのプラント建設、衛星通信地上局建設などのインフラ整備プロジェクトに関与し、クウェートの経済発展の一翼を担いました。インフラ整備が一巡した後は、大型プロジェクトが減少しましたが、1990年のイラクのクウェート侵攻と湾岸戦争により、多くの生活・産業基盤が破壊されたため、終戦直後からインフラ復興関連の大型プロジェクトが再び息を吹き返しました。当初、アメリカやイギリスなどクウェート解放に軍事的に貢献した国の企業が優先的にプロジェクトを受注する傾向にありましたが、その後、日本企業も、発電、海水淡水化などのプラント建設や製油所近代化などの大型プロジェクトを受注しました。


日ク民間合同委員会(2016年)

1995年には、日本とクウェートは両国間の貿易の促進と合弁事業の発掘などを目的とした民間レベルでの経済協力を推し進めるため、「日本クウェート民間合同委員会」が発足しました。この会議は現在も毎年両国で交互に開催され、日ク間の投資促進、貿易拡大、経済協力関係の強化などについて議論が交わされています。

世界有数の産油国であるクウェートは、長期間に亘り日本にとって原油・LPGの重要な供給元のひとつであり、我が国のエネルギーの安定供給に大きく貢献してきています。2014年の日本のクウェートからの原油輸入量は25万BD、全輸入量の約7%、日本のクウェートからのLPG輸入量134万トン、全輸入量の約12%となっています。


日本による湾岸戦争・戦後復興に対する支援


掃海部隊に謝意を表すクウェート大使(1992年)

1990年8月2日のイラクによるクウェート侵攻に対し、日本政府は直ちにイラクの行動を非難する声明を出し、クウェートからの即時撤退をイラク政府に求めました。また、8月6日に国連安全保障理事会が決議した対イラク経済制裁措置を日本政府は支持、即座に実施を開始しました。その後、日本政府は湾岸支援策として総額130億ドルを多国籍軍並びにクウェートとその周辺国への援助として拠出し、クウェートの解放と戦後復興への支援を行いました。また、戦争終結後、イラクがアラビア湾に敷設した機雷除去のため、世界各国が協力して作業している掃海作業に海上自衛隊が参加しました。日本政府は、湾岸戦争時にイラクに連行され拘留されたままとなっていたクウェート人戦争捕虜の解放運動も支援しました。


クウェートによる東日本大震災に対する支援


2011年3月の東日本大震災に際し、クウェート政府は、震災復興への支援として、原油500万バレルの無償提供をいち早く表明しました。支援原油を積んだタンカー第1船は、同年10月にJX日鉱日石エネルギー㈱(当時)根岸製油所に到着しました。原油は日本の石油元売り会社が受け入れ、その代金相当額(約400億円)が日本赤十字社に送金され、クウェートからの復興支援金となりました。


このクウェートからの復興支援金は、三陸鉄道の全線運行再開、「いわてこどもケアセンター」の開設、被災地の小中学校に電子黒板配布、「クウェート国友好医学生修学基金」の創設など、被災地の復興のために活用されています。

また、2012年3月、サバーハ首長が国賓として訪日された際には、追加支援として、福島県小名浜市にあるアクアマリンふくしまに300万ドル(約2億4千万円)、被災地に200万ドル(約1億6千万円)が寄贈されました。(当時1ドル=約80円)
(詳細はクウェートによる東日本大震災支援のページをお読みください)


両国間の包括的パートナーシップ




2007年4月、わが国の首相として初めて安倍首相がクウェートを公式訪問し、サバーハ首長に謁見、ナーセル首相と会談を行ないました。2013年8月、安倍首相は2度目となるクウェート訪問を行い、ナワーフ皇太子殿下(首長代理)、ジャービル首相と会談し、両国は「日本とクウェート国との間の安定と繁栄に向けた包括的パートナーシップの強化に関する共同声明」を発しました。この中で両国は、エネルギーのみならず、政治・安全保障、経済、教育、農業、医療など多くの分野で協力を進展し、包括的なパートナーシップを一層強化することを再確認しました。

これを受けて、両国の協力関係は多岐に亘る分野で一段と進展しつつあります。特に経済分野では、現在クウェートで進められている新5か年計画における大規模なインフラ整備プロジェクトにおいて、クウェートにおける初期のインフラ整備に貢献してきた日本企業が、その優れた技術力と経験を活かして、再び役に立つことが期待されています。


サバーハ首長の訪日(2012年3月20日)

クウェート国元首のサバーハ首長は、天皇陛下の招待により、2012年3月20日から23日の間、国賓として訪日されました。サバーハ首長の訪日は、1964年の初来日から数えて7度目となりました。この訪問は、2011年が日本とクウェート国の外交関係樹立50周年であったことを想起させ、友好的、協力的で互恵的な両国関係を更に強化することとなりました。

皇居で行われたサバーハ首長の歓迎行事では、手術後療養中の天皇陛下が皇后陛下とともに宮殿車寄せにて首長をお出迎えになられたほか、宮殿内で30分余りにわたって首長と会見されました。会見は和やかな雰囲気で行われ、天皇陛下は陛下の体調を気遣われた首長にお礼の言葉を述べ、東日本大震災に際してのクウェートからの石油提供などの支援について謝意を示されました。また、夕刻には、皇居宮殿でサバーハ首相を歓迎する宮中晩餐会が開催されました。


また、サバーハ首長と野田首相の会談では、野田首相は東日本大震災に際しクウェートより原油500万バレルの無償提供など多大な支援を頂いたことへの謝意を表明し、二国間関係を幅広い分野で重層的に発展させたいと述べました。これに対しサバーハ首長は、湾岸戦争の際の日本の貢献に改めて感謝した後、被災者へのお見舞いと早期復興を願う旨述べられました。また、両国の関係を政治、経済、文化等の様々な分野で発展させたい旨述べられました。引き続き、両首脳は日ク投資協定の署名に立ち会い、その後、野田首相主催の晩餐会に臨まれました。

当協会は、武田邦靖会長が、宿舎の赤坂迎賓館にサバーハ首長を表敬訪問し、東日本大震災において比類のない大きな支援を頂いたことに御礼申し上げると共に、日ク協会の概要や活動状況についてご報告しました。首長は当協会の活動もよくご存じで、協会の活動に感謝の念をお示しいただきました。サバーハ首長の来日によって、両国の結びつきは一段と緊密さを増すこととなりました。


ジャービル首相の来日(2016年5月11日)


天皇陛下とジャービル首相

ジャービル首相は、2016年5月11日から13日の間、日本を公式実務訪問されました。
天皇陛下はジャービル首相と会見され、熊本地震、自然災害、気候変動等が話題となったとのことです。

ジャービル首相と安倍首相との会談では、クウェートでの地下鉄や発電などのインフラ事業に対する日本からの投資促進、テロ対策やシリア難民への人道支援などに連携して取り組んでいくことで一致しました。続いて両首脳は廃棄物分野の協力覚書署名式に立ち会った後、安倍首相主催の夕食会に出席しました。夕食会には、当協会の木村会長の他、クウェートから震災支援を受けた三陸鉄道の望月社長、アクアママリンふくしまの安部館長、東北医科薬科大学の高柳学長などが出席し、東日本大震災に際しクウェートから頂いた大きな支援に感謝の気持ちを表しました。ジャービル首相の訪日は、両国の友好・親善関係を一層深めることに大きな役割を果しました。


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